胎児超音波検査
出生児の3.0~5.0%は先天性疾患をもってうまれるといわれています。出生直後より治療介入を要する疾患があり,胎内診断することで,出生後スムーズに児の治療を開始することができます。「胎児超音波検査」はそのような胎児形態異常の診断を目的とした検査です。相当周産期母子医療センターである当院は,胎内診断から妊娠分娩管理,出生児の治療まで系統的に診療することができます。
妊婦健診で行う発育,血流,羊水量,胎児付属物を評価する通常超音波検査に加え,週数に応じて胎児形態異常の有無をスクリーニングします。胎内診断後は重症度の評価と経時的な変化をもとに関連科とのカンファレンスを経て分娩方法や娩出時期を判断します。心血管構築異常,不整脈は当院の小児循環器専門医が胎児心スクリーニング検査(レベルⅡ)を行うことで確定診断し,出生直後に治療介入が必要な重症心疾患の場合は,専門施設にご紹介しています。胎児形態異常は出生前に見つからないことが多いといわれていますが,周産期専門医として検出率を上げて正確な出生前評価を行うべく,丁寧な検査を心がけています。これまでの診療経験の中で,口唇口蓋裂,十二指腸閉鎖症,食道閉鎖症,水腎症,先天性心疾患といった比較的頻度の高い疾患から,横隔膜ヘルニア,仙尾部奇形腫,肝腫瘍,多発性嚢胞腎,Potter症候群,VACTREL連合などの稀な疾患まで胎内診断および周産期管理を行ってきました。気になる所見がある場合はご紹介ください。
胎児超音波検査は広義の出生前検査としての側面もあります。検査の目的と意義をご理解の上,胎児形態異常が発見された際の告知範囲などに関して事前に妊婦さんのご希望をお聞きし,倫理的配慮を行うようにしています。胎内診断後は,妊婦家族への十分なカウンセリングを行うとともに,不安の軽減のため,出生後に児の治療に関わる医師や助産師,臨床心理士との面談の場を設けるなど配慮します。心理社会的ケアを行い,安心して分娩に臨める環境を作ることも周産期専門医の使命と考えています。